コラム
院長およびスタッフより歯科に関する情報を発信歯周病と歯肉炎と歯周炎ってなにがちがうの?
皆さんこんにちは。
文京区千石の千石ひかり歯科でございます。
今や、日本人の成人の8割はかかっているといわれ、「国民病」と呼ばれる歯周病。
この歯周病には、大きく分けると2つの状態があるのをご存知ですか?
今回は、歯周病の「歯肉炎」と「歯周炎」の違いについてご紹介いたします。
歯周病は、細菌の感染が引き起こす炎症性疾患です。
お口の中には、常にたくさんの細菌が住んでいるといわれています。
普段は大人しい細菌ですが、歯に付いた食べカスや糖分が細菌たちのエサになり、たくさんエサがある状態が続くと、細菌がプラーク(歯垢)を作り、これが歯の表面にくっついていきます。
プラークは固くなると、歯石に変化していきます。
プラークや歯石が歯についたままでいると、歯と歯ぐきの境目に炎症が起こり、赤く腫れてきたり、歯磨きの時に出血が起きたりするようになります。
これが歯周病の初期症状です。
「歯肉炎」は、歯周病の初期段階で、歯の周囲にある歯ぐきだけが腫れている状態です。
歯肉炎であれば、大抵の場合は原因となっているプラークと歯石を除去し、丁寧にブラッシングをしていれば2週間程度で治すことができます。
ですが、この段階では痛みがほとんどないため、症状に気がつかなかったり、「たいしたことはないだろう」と放置したりする方も多く、放っておけば症状はどんどん進んで、次のステップである「歯周炎」になってしまいます。
「歯周炎」は、歯肉炎が進行した状態です。
歯肉炎の時に見られていた歯ぐきの赤み・腫れ・出血だけでなく、歯と歯肉の間にある溝の「歯周ポケット」まで症状が広がっていきます。
歯周炎の進行度合いとしては、軽度・中等度・重度と主に分けられます。
歯周ポケット内にプラークが入り込むと、さらに炎症が進み、歯を支える「歯槽骨」の吸収が起こり、骨がやせてしまいます。
また、歯槽骨がやせることにより歯がグラグラしたり、歯ぐきが膿んでしまったりなどの症状も見られます。
初期の段階で適切な治療をすると炎症は治まり、健康な状態にはなります。
しかし、骨は最初よりやせた状態になってしまい、完全に元の状態には戻りません。
このように、歯周病とは、細菌が原因で歯ぐきや歯を支える骨に炎症を起こす病気の総称です。
この歯周病の中に、歯肉炎と歯周炎というステージがあるのです。
歯周病のステージを見分けるには、レントゲン検査や、歯周ポケット検査など、歯科医院での専門的な検査が必要であり、症状だけでその二つを正確に見分けることはできません。
歯磨きのときに出血したり、口臭が気になったりするような場合には、自分で判断せず、一度、歯科医院を受診することが重要です。
また、歯周病を予防するためには、毎日の丁寧な歯磨きのほか、定期的な歯科検診や、プロによるクリーニングをすることが有効です。
何の症状がない方でも、定期的に歯科検診を受けて、歯周病を予防していきましょう。